発達障がい改善トレーニングと能力開発を中心に、子どもと女性の身体と心を育てます
2018.09.12 発達障がいについて

発達障がいを考える 「手先の不器用さを改善する方法」

手先の不器用さを改善する方法

スプーンやフォークが上手に使えない。鉛筆やクレヨンが持てない。じゃんけんのチョキができない。おはじきがつまめない、といった手先の不器用さを改善できる方法はありませんか? というご相談を受けることがあります。年長さんだった友樹君は、発語が遅かったこともあり、ご両親が発達の遅れを気にしていました。指示も通りにくく外出先でも手を絶えずつないでいないと、勝手に走って行ってしまうようなお子さんで、いつも目が離せなくて、ご両親は気が休まらない状態が続いていました。そんな友樹君への指導は、いつも通り食生活の改善から始めました。まずは大好きだったパンやパスタなどの小麦製品や、毎日のように食べていたアイスクリームや乳製品を控えていただきました。併せて、使っている洗濯洗剤や柔軟剤の使用の有無などをお聞きし、生活環境の改善指導も行いました。食生活と生活環境の改善を始めて約一カ月後、友樹君に落ち着きが出てきました。その後、知的能力アップのレッスンを実施したところ、語彙や数字の理解などは同年齢のお子さんと比較しても大きな遅れがないことがわかりました。しかし、プリント問題の答えを書くクレヨンや鉛筆を持つことはできても、筆圧が弱く、書くことが困難だったのです。何か物をつまむとき、私たちは通常「親指と人差し指」を使いますが、これまで指導してきた発達障がいのお子さんの多くが「親指と中指」を使っていました。原因として指先の弱さ、特に、人差し指の力が弱いためだと考えられます。友樹君も「親指と中指」でつまんでいたので、最初に、ビー玉やミニカーを転がす、おはじきをつまむ、貯金箱にコインを入れるなど、手先を使った遊びのトレーニングを実施しました。また、アイロンビーズ(アイロンの熱でビーズをつなげて形をつくる)も楽しく遊べる方法です。中指を使いそうになったら、「こっちの指ね」と人差し指を触って促します。ストレスにならないよう、できる限り遊びを通して練習することです。また、自然に指先を使う練習をするために、衣服はボタンのあるものにする、といった工夫もよいでしょう。

 

発達障がいの方は、筋肉が硬くぎこちない動きをすることが少なくありません。手の筋肉も硬くなっている可能性が高いので、指先のマッサージも有効な方法です。友樹君のご両親には、手首から五本に分かれている指と指の骨の間から指先に向かってマッサージをして手の筋肉をほぐしてもらいました。続いて、指先も揉んでもらいます。このマッサージで、じゃんけんのチョキができなかったお子さんが、たった二日でできるようになったという報告もいただいています。マッサージは肌と肌が触れ合うため、愛着を育てるのにも

効果的ですから、ぜひ行っていただきたいと思います。また、私たちの動作には、肩を回す、腕を振る、歩く、走る、ボールを投げるといった大きな身体の動きである粗大運動と、ものをつまむ、箸を持つ、字を書く、コップを握るなどの手の細かい筋肉による微細運動があります。人の発達には大まかな順序があり、粗大運動ができるようになって、次に指先の動きのような微細運動ができるようになっていきます。つまめない、握れないといった場合には、それ以前に肩が上手に回せなかったり、ひじの動きがぎこちなかったりするのではないでしょうか。そういうときは、お風呂にボールを浮かせて、ザルですくう練習をしてみてください。肩とひじを動かす遊びを通したトレーニングになります。

 

さて、友樹君は、つまむ遊び、手のマッサージ、肩やひじを回すといったトレーニングを行うことで、少しずつクレヨンや鉛筆を正しく持てるようになり、現在は全く問題なく書くことができるようになっています。驚くことに、縄跳びもできるようになりました。

そもそも知的な遅れはありませんでしたから、現在は学校生活を楽しく過ごしています。

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